システムの復元でデータがどうなる?
システムの復元でデータが残りますか?は、システムの復元でよくあるご質問 No.1 です。
システムの復元はデータを操作しません。データを消すことはないですし、消したデータが戻る(復活する)こともありません。あくまでもシステムだけを操作します。
ただ厳密には、データとシステムの定義がないため、システムの復元では特定の拡張子をシステムと判断します。ちなみに拡張子とは、たとえば写真ですと「ファイル名.jpg」のようなそのファイルがなんのファイルなのかを識別するための情報です。
その特定の拡張子にデータで使われる拡張子は含まれていないため、繰り返しになりますが、システムの復元でデータを消すことはないですし、消したデータが戻ることもありません。
システムの復元は、プログラムで使われる代表的な拡張子でもあります「.exe」をシステムと判断します。そして、たとえば「ファイル名.jpg」を「ファイル名.exe」に書き換えますと、データなのにシステムの復元でコントロールされるようになります。この動画では、テキストファイルと圧縮ファイル(フォルダ)を exe に変更して、システムの復元でコントールしてみました。exe ファイルを削除後にシステムの復元を行ったところ復活しました。このような裏ワザを使わない限り、データが消えたり戻ることはありません。
こちらの動画は記事もあります( システムの復元でデータが消える?復活する?裏ワザも! )。
システムの復元のデメリットとは?
【お客様談】特定のアプリがエラーで使えなくなった、Wi-Fi の調子が悪いなどの理由でシステムの復元をかけたら Windows が起動しなくなった。このようなメンテナンスでシステムの復元を行ったのに、Windows の調子がさらに悪くなったというシステムの復元のデメリットを聞くことが多々あります。
当社の YouTube チャンネルではいままでいろいろとシステムの復元をテストしてきました。その経験から、システムの復元は拡張子でシステムを識別していることや一部のシステムしか対象としていないことがわかり、こちらの動画で検証してみました。
システムの復元は一部のシステムしかコントロールしないため矛盾が生じてしまうこともあります。必ず矛盾が生じるということではなく、矛盾が生じるときもあり、システムの復元で調子がさらに悪くなるというケースもあります。
そのようなシステムの復元のデメリットを考えますと、トラブルシューティングでシステムの復元を行うときは最終手段にすることがベストかと思います。たとえば、アプリのエラーでシステムの復元を行うときは、その前にアプリの再インストールを試すなど他にできることをやって改善しないときの最終手段にされると間違いありません。
Windows の起動トラブルでしたら「スタートアップ修復」や「更新プログラムのアンインストール」などのメンテナンスを先に行ってそれでも改善しないときの最終手段でシステムの復元を行ってください。
システムの復元で改善するケース【高確率】
システムの復元で表示される復元ポイントの日付とトラブルが起きた日付が一致する場合は高確率でそのトラブルが直ります。復元ポイントを作る理由になったイベントでエラーが起きたことは明白です。
システムの復元はレジストリという Windows を動かすための重要な情報(データベース)をコントロールします。この動画では、実際にレジストリがシステムの復元でコントロールされることを確認しました。
ちなみに、復元ポイントの日付とトラブルが起きた日付が全く違う場合ですが、Windows のレジストリはとても重要な情報のため、トラブルとは無関係な意味のない変更は、それはそれでリスクが残ります。*レジストリのむやみな変更はトラブルの元です。
ただトラブル発生日は、パソコンがフリーズしたり起動しなくなったという現象が出た日だけに限りません。以前からエラーが起きていて何かしらのイベントがあればトラブルが起きる状態だったというケースもあります。そのため、復元ポイントがだいぶ古いという極端な場合でもトライしたいところです。
レジストリがコントロールされるのは、システムの復元のメリットでもありデメリットでもあります。システムの復元は、他のメンテナンスを行ってそれでも改善しないときの最終手段で行うことがとても大切です。
システムの復元で完了までにかかる時間
システムの復元がなかなか完了しないということもあります。システムの復元の時間が長い理由として、復元ポイントの内容やパソコンのスペックがあります。これらの理由でシステムの復元が完了するまでの時間は変化します。当社の YouTube チャンネルではシステムの復元で完了までの時間が長くかかるであろう 3 つの要因を推測してテストを行いました。
- 負荷の高い Windows Update 前に戻す
- パソコンの性能差
- 空き容量不足
Windows Update 前の状態に戻すシステムの復元は、そのようなイベントなしの状態にくらべて完了までの時間がだいぶ長くなりました。つまり、復元ポイントの内容で時間が長くかかることがわかりました。それとパソコンの性能差でも、システムの復元の完了までの時間が長くかかりました。負荷の高い作業&性能差でシステムの復元がなかなか完了しないということもあるかと思います。
ちなみに、空き容量不足のパソコンは予想とは違い、システムの復元ができませんでした。10%まで空きを作ったところ作業はスタートしましたが完了までの時間に差は開きませんでした。
システムの復元はトラブルが起きたときに使います。すでに何かしらのトラブルが起きている状態で実行されているでしょうから、完了までに長い時間がかかることがあっても不思議ではありません。経験上 12 時間かかっても許容範囲かと思います。
注意点です。作業時間が長い理由にハードディスク故障もありまして、故障が悪化してしまいますとその影響でデータが壊れてしまう可能性もあります。もしデータが重要という場合は 6 時間を超えるようであればで強制終了してください。
負荷の高い Windows Update 前に戻す
パソコンの性能差
空き容量不足
システムの復元を途中でやめるとどうなる?
システムの復元が終わらず、途中で強制終了したら状況が悪化した…… たとえば、システムの復元をかけたものの退社時間の関係でやむを得ず強制終了したら、次の日にエラーでシステムの復元が実行できなくなっていたなど。
システムの復元はトラブルが起きたときに使います。すでに何かしらのトラブルが起きている状態で実行されているでしょうから、システムの復元を途中でとめて悪化するという例外があっても不思議ではありませんし、システムの復元がなかなか終わらないという例外も不思議ではありません。
システムの復元がなかなか終わらないというタイミングもありまして、システムの復元は時間に余裕があるときに作業していただくのが得策です。ただし、システムの復元で 12 時間を超える場合は異常でして、この場合は強制終了して、システムの復元を途中でやめても問題ありません。
システムの復元を取り消す方法
もしシステムの復元を試さないほうが良かったという場合に、システムの復元をかける前の状態に戻す方法、つまりシステムの復元を取り消す方法があります。
Windows が起動できることが大前提ではありますが、必要最低限セーフモードで起動できればシステムの復元の取り消し作業ができます。詳細は動画でレポートしておりますがざっくりとした手順としましては、セーフモードで起動して、システムの復元を行ってください。すると、システムの復元の取り消し Or 別の復元ポイントを試す画面が表示されます。ちなみに、通常はシステムの復元の取り消しが選択されていますのでそのまま実行してください。
システムの復元で BitLocker 回復キーを求められる時は
Windows トラブルを直すためにシステムの復元を試そうとしたところ、BitLocker 回復キーが求められ先に進めません…… この場合は、Microsoft アカウントで回復キーを入手してください。
BitLocker は Windows 標準の暗号化機能です。回復キーは、BitLocker のパソコンをメンテナンスするときに必要になる暗号化というロックを解除する鍵になります。ちなみに、回復キーがないとロックが解除できないため、入手するまではシステムの復元などのメンテナンスができません。
システムの復元でアカウントのエラーの対処法
通常、システムの復元ボタンを押した後でアカウントを選択し、パスワードを入力すると、システムの復元画面が表示されます。
このトラブルはシステムの復元ボタンを押した後で、たとえば「続けるには管理者としてサインインする必要がありますが、この PC に管理者アカウントが設定されていません。」エラーで先に進めない、正しいパスワードを入力しても続行ボタンが有効にならないなどアカウントのエラーで先に進めません。
回復ドライブに収録されているシステムの復元は、パスワードが不要で作業ができます。もし管理者アカウントが設定されていませんエラーでも、パスワードエラーでも、回復ドライブからは正常にメンテナンスができます。
ちなみに、Windows 起動設定の BCD というファイルにエラーが起きて、システムの復元ボタンすら表示されないというトラブルもあります。このようなトラブルでも回復ドライブからはシステムの復元が無事にできます。
ただし、Bitlocker 暗号化がかかっていて回復キーがない場合や、システムの復元の復元ポイントが作られていない、復元ポイントにエラーがある場合は、回復ドライブでもシステムの復元ができません。
回復ドライブのシステムの復元とは?
回復ドライブとは、Windows 起動トラブルをメンテナンスするツールです。もしトラブル発生前に作成していなくても正常に起動する「他のパソコン」で作成して、「トラブルが起きているパソコン」で使えます。システムの復元は、その回復ドライブにも収録されています。
もしアカウントのエラーでシステムの復元ができないときでも、回復ドライブのシステムの復元なら問題なく作業できますし、私は Windows のメンテナンス全般で回復ドライブからのシステムの復元をお勧めしています。
その根拠としましては、回復ドライブは正常に動作しているパソコンで作成しますので、回復ドライブのシステムの復元にはエラーがありません。しかし、トラブルが起きているパソコンに収録されているシステムの復元は、そのトラブルの影響で誤作動する可能性もあります。どの職業でも道具は大切かと思いますが、信頼性という意味で回復ドライブのシステムの復元なら間違いありません。
回復ドライブのシステムの復元の使い方は以下の順でレポートします。
- 回復ドライブの作り方
- 回復ドライブからの起動方法
- 回復ドライブのシステムの復元
回復ドライブの作り方
回復ドライブからの起動方法
回復ドライブのシステムの復元
システムの復元でよくある勘違いです!
珍しくないと言いましょうか、意外と多いシステムの復元のもったいない勘違いです。
たとえば、復元ポイントが 3 つある場合に、2 つは試したものの最後の 1 つはダメかと思って試さなかった、というお話をたびたびお聞きします。そんなに前からトラブルが続いていたなんて普通は想像できないはずです。
ただトラブル発生日は、パソコンがフリーズしたり起動しなくなったという現象が出た日だけに限りません。以前からエラーが起きていて何かしらのイベントがあればトラブルが起きる状態だったというケースもあります。そのため、復元ポイントがだいぶ古いという極端な場合でもトライしたいところです。
ちなみに、シャットダウンではなくスリープが多い方は、トラブルが前回のシャットダウン後から続いているなんてことも。これはスリープですとパソコンを起動させないことから、すでにトラブルが起きていてもシャットダウンするまで起動トラブルが起きません。久しぶりにシャットダウンしたのでトラブルが表面化したというケースもあります。
試していないその最後の復元ポイントで直るケースも珍しくないため、システムの復元はトラブルが直るまで試したいですね。
こちらは逆パターンではないのですが、トラブルが改善したらシステムの復元は試さないでください。たとえば、システムの復元後に Windows の動作が遅いなどの後遺症が残り、他の復元ポイントを試したらパソコンが起動しなくなったという、トラブルが再び起きることもあります。たとえば、Windows の動作が遅い場合はウイルス対策ソフトを再インストールするなどシステムの復元以外で試せるものを行って、それでも改善しない場合の最終手段でシステムの復元を行ってください。