トラブルシューティングのポイントについて
パソコンの電源が入らない起動トラブルを解決するポイントとしては、トラブルを起こしている原因を特定することがとても大切です。問題を起こしている原因さえわかれば、そこを直して無事解決です。
原因の特定方法としては、パソコンの点検ランプで対象を把握し、絞り込んでいきます。たとえば、電源アダプタのランプを確認し、消灯していれば電源アダプタの故障、ケーブルの断線、コンセントの異常と対象を絞れます。そして他のコンセントに接続したり、ケーブルを変えたりして原因を絞り込んでいきます。
点検ランプは、「 電源ランプがつかない 」、「 電源ランプが点灯している 」、「 電源ランプが点滅したり、橙色 」を確認します。これで対象が把握できます。対象を把握したら、トラブルの原因を絞り込みます。トラブルシューティングの詳細はこの後でレポートしますが、まずは「問題を起こしている原因を見つけることが大切」とポイントを意識していただくとケアレスミスがないかと思います。
なお、パソコンの電源が入らないのではなく、モニター表示ができないというケースもあります。電源ボタンを押して、ドラム缶のようなマークのランプ(ハードディスクのアクセスランプ)が点灯、点滅する場合は ハードディスクランプが点灯、点滅するケースの対処法 を試してみてください。
作業を始める前に
トラブルシューティングを始める前に、不要な部品やケーブルを外します。不要な部品を外すことで対象を絞り、トラブルの原因が見つけやすくなります。
デスクトップであれば、モニター、キーボード、マウスを外し、USB 機器や LAN ケーブルなどの配線も外します。この写真のように本体と電源ケーブルだけにしてください。できればカバーも外したいところですが、分解が必要な作業は感電や火災が心配ですので、パソコンを組み立てる知識や経験がない場合は外さないでください(パソコンが苦手に感じる方は分解不要の作業までにしてください)。パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。
ノートパソコンもモニター、キーボード、タッチパッドのケーブルを外したほうが良いのですが、分解作業は難易度が高いです…またパソコンを組み立てる知識や経験がない場合は感電や火災が心配です。そのため、本体と電源アダプタだけになるようにします。USB 機器や LAN ケーブルなどの配線を外します。なお、パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。
準備が整いましたら電源ボタンを押して点検ランプを確認してください。症状に応じて以下のリンクから対処法に進んでください。
電源ランプがつかない
電源ランプが点灯している
電源ランプが点滅したり、橙色
電源ボタンを押してランプがつかないケースの対処法
電源ボタンを押して電源ランプがつかない場合は、電源系がらみの部品に対象が絞れます。まずはきちんと通電しているか、確認していきます。
パソコンの電源ケーブルをコンセントに接続するとスタンバイ状態になり、通電ランプが点灯します。デスクトップ型パソコンの場合は、マザーボードの LED が点灯したり、ファンが数回だけ回転したりします。何かしらの反応があるかをチェックします。
ノートパソコンの場合は、コンセントマークなどの通電ランプが付いている場合があり、電源アダプタを接続するとこのランプが点灯します。またバッテリーを外して電源アダプタを接続するとバッテリーのランプが点灯します。何かしらの反応があるかをチェックします。
なお、デザイン重視のモデルなどで例外として通電ランプのないパソコンもあります。またモニター一体型パソコンはランプのないケースのほうが多いかと思います。その場合は、以下の対処法の中でこれなら作業できるというものを試してみてください。
それでは通電ランプや状態を確認して、「 通電ランプがつかない、無反応 」、「 通電ランプが点灯したり、反応する 」に進んでください。
通電ランプがつかない、無反応
マザーボードまで電流が届いていない現象になります。デスクトップ型パソコンの場合は電源ユニットとケーブル、ノートパソコンの場合は電源アダプタとケーブルも対象になります。マザーボードが壊れていて、通電ランプがつかない、無反応というケースもあります。古い建物ではコンセントやタコ足配線が原因のこともあります。
なお、点検ランプが付いているタイプの電源ユニット、電源アダプタがあります。こちらのランプが消灯している場合は、コンセント、電源ユニット、電源アダプタ、電源ケーブルのどれかに絞れます。またランプが点灯する場合は、マザーボード、接点(マザーボードと電源ユニット、電源アダプタ)が対象になります。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「電源アダプタ」または「電源ユニット」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので分解作業は行わないでください。「分解不要」な作業のみ試してみてください。
まずは試したい対処法(分解不要)
他のコンセントに接続します。
パソコン本体から電源ケーブルを抜き差しします。
ノートパソコンの場合は電源アダプタとケーブルを抜き差しします。
電源アダプタを交換してテストします。
難易度:中級者
電源ユニットを交換してテストします。
難易度:上級者
CPU、マザーボード、電源ユニット(電源アダプタ)のみの構成で通電させて改善しない場合は、マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点、コンデンサ故障を点検し修理します。
通電ランプが点灯したり、反応する
電流が内部に届いていてスタンバイ状態にはなるものの、動作まではできないという現象になります。対象は、マザーボードと CPU になり、帯電や接触不良、部品故障があげられます。稀に電源ボタンのスイッチが故障しているケースも見かけます。また電源ユニットの点検ランプが点灯しスタンバイ状態にはなるものの、動作まではできず故障しているケースもあります。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「電源アダプタ」または「電源ユニット」、「 CPU 」、「電源ボタン(スイッチ)」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので分解作業は行わないでください。「分解不要」な作業のみ試してみてください。
まずは試したい対処法(分解不要)
コンセントからパソコンを外し、1日放置します(放電)。
電源アダプタを交換してテストします。
難易度:中級者向け
部品やコネクタ類を外し、再度組立てて接触不良を解消します。
電源ユニットを交換してテストします。
CPU を交換してテストします。
難易度:上級者向け
マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点、コンデンサ故障を点検し修理します。
電源ボタン(スイッチ)を交換してテストします。
電源ランプは点灯するものの起動しないケースの対処法
電源ボタンを押して電源ランプは点灯するものの、モニターにメーカーロゴやブランドロゴが表示されず、パソコンが動いていないという現象です。
それでは症状を確認して、「 電源ランプだけ点灯するケースの対処法 」、「 電源ランプ点灯後にすぐ落ちるケースの対処法 」、「 警告音が聞こえるケースの対処法 」に進んでください。
なお、放電で直るようなちょっとしたトラブルもあります。最低 1 日以上、できれば 1 週間程度放電して様子を見てください。こちらはちょっとした原因で起動できなかったパソコンの復旧事例です( 電源を入れても「VAIO」ロゴが出ず、ファンが数秒回転して起動しないの修復事例 )。
電源ランプだけ点灯するケースの対処法
電源ボタンを押した直後に停止しています。対象は、CPU、マザーボード、電源ユニットになり、部品故障と接触不良、帯電があげられます。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「電源アダプタ」または「電源ユニット」、「 CPU 」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので分解作業は行わないでください。「分解不要」な作業のみ試してみてください。
まずは試したい対処法(分解不要)
コンセントからパソコンを外し、1日放置します(放電)。
電源アダプタを交換してテストします。
難易度:中級者向け
部品やコネクタ類を外し、再度組立てて接触不良を解消します。
電源ユニットを交換してテストします。
CPU を交換してテストします。
難易度:上級者向け
マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点、コンデンサ故障を点検し修理します。
電源ランプ点灯後にすぐ落ちるケースの対処法
電源ボタンを押した後にファンが回転したり動作するものの、すぐに電源が落ちます。場合によっては再び電源が入り、停止と起動を繰り返します。対象は、マザーボード、電源ユニット、CPU になり、部品故障と接触不良、帯電があげられます。
なお、CPU の熱暴走が原因の場合もあります。パソコンが起動して10分くらい使えるものの熱暴走で電源断し、CPU が冷えるまでは電源ボタンを押してもこの症状がでます。対象は、CPU ファン、グリスになり、部品故障と接触不良があげられます。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「電源アダプタ」または「電源ユニット」、「 CPU 」、「 CPU ファン」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので分解作業は行わないでください。「分解不要」な作業のみ試してみてください。
まずは試したい対処法(分解不要)
コンセントからパソコンを外し、1日放置します(放電)。
電源アダプタを交換してテストします。
難易度:中級者向け
部品やコネクタ類を外し、再度組立てて接触不良を解消します。
電源ユニットを交換してテストします。
CPU グリスを塗布してテストします。
CPU ファンが回転しない場合は交換してテストします。
CPU を交換してテストします。
難易度:上級者向け
マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点、コンデンサ故障を点検し修理します。
警告音が聞こえるケースの対処法
電源ボタンを押した後に「ピーピー」と警告音が鳴りだします。対象は、メモリ、マザーボードになり、部品故障と接触不良があげられます。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「メモリ」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので以下の作業は行わないでください。
難易度:中級者向け
メモリを抜き差しし、接触不良を解消します。
メモリを交換してテストします。
難易度:上級者向け
マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点を点検し修理します。
電源ランプが点滅したり、橙色の対処法
パソコンメーカーによっては電源ランプによって異常を表示します。対象は、マザーボードと CPU になり、帯電や接触不良、部品故障があげられます。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「 CPU 」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので分解作業は行わないでください。「分解不要」な作業のみ試してみてください。
まずは試したい対処法(分解不要)
コンセントからパソコンを外し、1日放置します(放電)。
中級者向け
部品やコネクタ類を外し、再度組立てて接触不良を解消します。
CPU を交換してテストします。
上級者向け
マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点、コンデンサ故障を点検し修理します。
ハードディスクランプが点灯、点滅するケースの対処法
ハードディスクのアクセスランプが点灯、点滅する場合は、パソコンが動いており、モニター表示にトラブルが起きています。デスクトップ型パソコンの場合は、対象がモニター、ケーブル、グラフィックボード(増設部品)、マザーボードになります。ノートパソコンの場合は、対象がモニター、マザーボードになります。
その部品の故障をテストするために、正常な部品に交換して確認します。正常な部品に交換して症状が改善すれば、その部品が壊れていると判断できます。ここでは故障を確認するために、テスト用の「モニター」または「テレビ」が必要になります。
パソコンを組み立てる知識や経験が必要な作業は中級者以上で案内しています。知識がない場合は感電や火災が心配ですので分解作業は行わないでください。「分解不要」な作業のみ試してみてください。
まずは試したい対処法(分解不要)
デスクトップ型パソコンの場合は、違うモニターやテレビに接続します。
ノートパソコンの場合は、モニターやテレビに接続します。
中級者向け
増設のグラフィックボードを外し、パソコン本体の端子を使ってモニターに接続します(デスクトップ型パソコンのみ)。
上級者向け
マザーボードの異常を点検します。チップの焼け、腐食、ハンダの接点を点検し修理します。